そりゃそうだよ。
ここんとこサナは何しても元気ないから。
せっかく打ち上げ花火を計画してくれたのに静かすぎる。
でも………ごめん。
おれたち、サナをもっと傷つけるよ。
『今すぐこの屋敷から出ていけ』
『裏切り者。2度とおまえの顔なんか見たくない』
『ひとの弱みに付け込んで騙すおまえみたいな人…、大嫌いだから』
シキ兄は耐えるようにこぶしを震わせながら握りしめていて、望は油断したら泣きそうなギリギリ。
おれは仮面を被るように人生で絶対に言いたくない言葉だけを並べた。
ごめん………サナ。
でもサナを守るために、おれはシキ兄を信じるよ。
「ハナちゃん…!」
「……なに?」
「っ、」
地下牢につづく扉の前。
ちょうど出てきた兄に咄嗟に声をかけたおれは、ゾクリと引き返しそうになる。
あれからサナを牢に閉じ込めてから食事を運んだり様子を見に行っているのは意外にもハナちゃんだった。



