日向家の諸事情ですが。





『な、なんでそこまでして……』



シキ兄だってハナちゃんと仲良くしたいはずだろ。

昔から、だれよりもハナちゃんに罪悪感を感じて生きていたのはシキ兄だ。


長男だから、長男として。


日向家の期待をすべて背負って、次男からも恨まれて、それでもハナちゃんの兄貴として苦しんでいたのはシキ兄なのに。



『───俺たちの大切な日向家のメイドを…守りたくねえのかよ』



おれたち日向4兄弟にはあのメイドは必要不可欠だ。


だってこんなふうにテーブルを囲んだことなんか、母さんが居なくなってから無かった。


望が部屋から出てきたことも、おれの毎日が退屈なものから楽しいものに変わったことだって。

そしてシキ兄がここまで年相応な顔を見せてくれるようになったのも。



『でもそんなの…、そんなのサナが苦しいって…!!』


『…そこはあいつに任せる』


『あいつ……?』


『……本当の葉奈は兄弟のなかでいちばん優しい』



おれが何かを言うよりも先にリビングに戻ってきた、サナとハナちゃん。

相変わらずサナは地面ばっか見つめてるし、ハナちゃんはどこか不服そうな顔。