『幸い今の時点では顧客やうちの事業に被害は出ていないが、すでに被害が出ているってことにする。データも流失して危険な状況ってことで……おまえらには一芝居打ってもらいたいんだ』
おれたちがサナを見放し、見捨てるところを、サナが首にかけたペンダントのカメラにあえて映す。
そうすることで向こう側を勘違いさせるという、裏を読んだ作戦らしい。
置物の盗聴マイクは今は切ってあるが、その瞬間だけオンにすると。
おれたちを騙そうとした人間をこちらが先回りして騙す。
それを抜かりなく徹底的な勝率として上げるため計画していたから、最近のシキ兄はドタバタ忙しそうにしていたんだと。
『…これからもあいつと一緒にいたいなら、頼む。楓と望』
『待って、ハナちゃんもいるんだよ…!今日は花火が上がるって、だからせめて今日じゃなくていいじゃん…!』
『……いや、今日だ。葉奈がいるなら尚さら信憑性も上がる』
この機会をシキ兄は逆手に取って利用するつもりなんだ…。
たとえサナに嫌われてまでも、ハナちゃんと今まで以上の亀裂を生んでまでも。



