日向家の諸事情ですが。





使われた……?
それがスパイとして利用ってこと……?


そうだ、おれは最初からおかしいと思ってたんだよ。

おかしいんだよ、サナの家って。


40度ないと熱じゃないとか、いつもひとりで乗り切ってたとか、お母さんがそう言ってたとか。

母親の教えは絶対だとか言って、変なカルト臭さをおれはずっと感じていた。


実の母親が大切な娘にそんなこと普通するかよ、って。



『サナは……そんなこと、しない。ボクたちを売るなんてこと…するわけない』



やっと口を開いた望。

信じられないことを前にして、おれよりも理解がワンテンポずれていた。



『俺もそれは信じてる。だがサナの母親の過去を調べたら、とあることが分かったんだ』


『とあること…?』


『…それは言えない。なるべく大事にしたくない。そこは俺がどうにかするから、おまえたちにも協力してほしいんだよ』



ここで安易に『嫌だ』なんて言える空気感だったとしたら、そんなのとっくに言っていた。