その日は珍しすぎる日だった。
リビングにはハナちゃんがいて、ハナちゃんがみんなで花火を見ようって言ってくれて、おれは本当に本当に楽しみで。
テーブルに並べられたいつも以上に豪華な食事、あとは長男の帰宅を待つだけ。
これで最近ずっと元気がないサナの笑顔も絶対に戻ると思っていたのに。
『ど、どーいうこと…?なんで急に…』
『…サナはスパイとして母親に利用されている』
『利用…?なに…?意味わかんないよシキ兄』
やっと帰宅してきたと思えば、急にそんなこと言ってきてさ。
ちょうどハナちゃんとサナは席を外していて、シキ兄からすれば好都合だったのだろう。
残されたおれと望に、真剣な顔で理解不能すぎることを淡々と並べてきた。
『あいつが首にかけたペンダントと、それからこの屋敷に置いた置物。…すべてに盗聴と盗撮が仕掛けられてたんだよ』
『…は……?』
『つまり俺たちの行動ぜんぶが録画されて監視されているってことだ。そうなると日向家の事業にも影響が出るってのは想像できるだろ』
『なに…それ…、それってサナがやったってこと…?』
『ちがう。サナが使われたんだ。たぶんそれは本人も気づいてないんだろうな』



