日向家の諸事情ですが。





首から持ち上げられるように固定された顔。
ぎゅうっと涙ごとつむった目。

数日間なにも口にしていなかったからか、抵抗することさえ叶わない。


前はソファーに押し倒してきたり。
今はキス……なんて。


やっぱりこの男の攻略はSSSレベルだ。



「…んッ、」



なにが気に入られたのかは、わからない。

最後は満足そうに唇を甘噛みしてから離された。



「────……はじめて…だったのに……」


「…そりゃ残念。初めてがこんな牢屋で、水飲ませる義務作業で終わったなんて可哀想だ」


「っ、さいあく…っ」



飲むって言ったじゃん。
わたしはちゃんと答えたのに。

それにファーストキスはずっとずっと大切に取っておいたものだ。


こんなぐしゃぐしゃな顔で、あなたも言っていたとおり牢屋でされるなんて誰が夢見るファーストキスなのって話だ。



「俺なんかに助けを求めたおまえも悪いから」



まるで「俺の助け方はこうだ」とでも堂々と宣言されたみたい。


あれは……義務。

この男にとってはわたしのファーストキスなど、きっとキスのうちにカウントさえしないんだろう。



「もうこんなのいらない…」


「…いーんじゃない捨てれば」