「…もし俺がおまえだけは信じるって言ったら、じゃあおまえも俺だけを信じんの?」
人間を根本から信用していない男が。
信じるくらいならと最初から背中を向けまくっていた男が。
この場所で、わたしだけに振り返った。
見下ろしてくる眼光が恐ろしくてたまらないのに、なぜかいちばん優しいものにも感じてしまう。
「…しん、じる……っ」
たすけて、助けて。
このまま誰も信じられない人間にはなりたくない。
なにかにすがっていないと立てない弱さを誰かが嘲笑ってくるのなら、もう、それでいい。
「ひとりにしないで…っ、こわい…、もうぜんぶ怖いもん…っ、葉奈まで居なくなったらわたし死んじゃう……っ」
「…おまえ、そんなメンヘラだったのかよ」
うん。
そーだよ、そうなんだよ。
わたしだって常に元気いっぱいなわけじゃないし、ヤキモチも妬くし、もう無理かもって思うときのほうが多い。
今まで嫌なことからは逃げてきた人間がわたしだ。



