「どうしてわたしだけ……っ」
ムカつく。
悲しさを通り越して、恨みや怒りが心をすぐにでも埋め尽くしそうだ。
「…その時間があったから今の自分がいるんだろ」
「っ…、」
「無駄な時間なんかない。ぜんぶにちゃんと意味があるんじゃないのかよ。あれだけ俺に偉そうなこと言っといて、適当だったって?」
わからないよ、もう。
今の自分…?
ぜんぶにちゃんと意味がある…?
わたしだってそう思っていたし信じてたんだよ。
でも、みんなのあの目。
アニキはわたしの胸ぐらを掴んで突き飛ばして、「出ていけ」って。
楓くんには「裏切り者」、
望には「大嫌い」って言われたんだ。
あんなの食らって普通でいられるほうがおかしいよ。
「うぐっ…!」
「意地でも食わせるって言ったから俺は」
「やっ、んぐっ…!」
口に突っ込まれる、すこし固くなったパン。
腹持ちがいいのと腐りにくいものを選んでいるんだろうなとは、わかっていた。
ただ、やっぱり日向 葉奈だ。
こんなときにも優しくない。
それなのに、この人だけは変わらない態度でわたしに接しつづけてくれている矛盾。



