日向家の諸事情ですが。





「だから隠し事はないかって俺はあのとき聞いたんだよ」


「な、ない…、ないの……、本当になんにも……ないんだもん…っ」


「…そのペンダント、急に渡されたの?」



すでにカメラ機能が無効化された、琥珀色。



「そうだよ…、わたしだけに特別って…、初めてお母さんから褒められたと思った……っ」



その「特別」は、ある意味では特別だったってわけだ。


これが嘘をついているようには俺には思えない。

嘘をついている女ほど、余裕ぶって綺麗な愛情を向けてこようとするんだ。


そう……ポンコツな娘に褒め言葉を添えながらペンダントを渡すような、そんな綺麗な愛情をね。



「……あーあ。上がった」



遠くから微かに聞こえてくる爆発音。

時間指定していた俺は、約束どおり20時の現在、とうとう打ち上がったらしい。


ドン、ドン。


大将ごめん。
マジなんも意味ないわ。

こんな地下牢じゃ光の端切れさえ見えない。



「わたしは……だれにも愛されてなかったんだ…」



そんな消えそうな音だけを聞いて、俺は地下牢につづく扉を閉めた。