その目にこの状況を映すと、俺にはおまえら兄弟どもが敵に見える。
面白いくらいに俺のその目には、日暮 サナは守るべき対象として映してくるんだよ。
「…このまま出ていかせたほうが危ないと思うけど」
俺のつぶやくような言葉に、3人が一斉に振り返った。
「こいつ、データぜんぶ奪ったくらいのヤツだよ。ほかにも企んでることがあるかもだろ。…もし裏で動いてる組織があったら、そいつらを誘き寄せる駒としても使える」
この屋敷にある地下牢は、過去に不正を犯した使用人たちが必ず閉じ込められていた場所だと噂があった。
ウワサ程度にしか信じていなかったけど、まさか本当にあったとは。
警察に突き出すよりも前に、主である父親が帰国するまではと、識はその場所にメイドを幽閉した。
「いくらなんでもやりすぎ」
「…なら、おまえが気にかけてやればいい」
「…………」
それだけ俺に言って、南京錠にしっかりと鍵をかけた識は地上へと戻ってゆく。
地下牢のなか、ペタリと座り込んで地面ばかりを見つめている女を檻の外から見下ろした。



