日向家の諸事情ですが。





「…なんだ。帰ってきてたんだ」



そしてリビングに戻った俺たちの前、長男が揃った3兄弟が立ちすくんでいた。


おい楓、このタイミングで静かになるなよ。

望はサボテン、この前やったんだから少しくらい兄貴の顔を立てろ。

………識、今日くらい「長男」とか「次男」なんて、お互い忘れていーんじゃないの。


────そう、言おうとした俺を足早に通りすぎたのは識だった。



「きゃっ…!」


「おまえ、なに企んでる」


「……え…?」



そのうしろにいた、メイド。

女だというのに容赦せず胸ぐらを掴んだ識は、この上なく睨みを効かせていた。


こんなことになればさっそく止めに入る存在は楓のはずだが。

笑えるほど、静かだった。


むしろ識と同じ目を日暮 サナに向けている。



「おまえってそんな空気読めなかったっけ、識」



説明もなしに相手に取っ組みかかるとか、俺じゃないんだからさ。

あんたはもっと丁寧な男だっただろ。
そんな男だからこいつだって惚れたんだよ。