そういや誰かさんが俺に花火を見せるために大失敗した夜があったっけ。
でもあの日がなかったら俺は今、こうしてこの場所で飯を食べていないってのも事実だ。
「…ねえ。あいつらの夏休みって来週までって言ってたよな」
「うん」
「じゃあ今週末、花火やるから」
「…え?」
「みんな集めといて。……識も」
予約殺到の有名打ち上げ職人、だろ。
俺もあのあと、雷に怯えて停電に怯えた挙句、ひとに迷惑かけまくって最終的に隣でスウスウ寝ていた誰かさんの横で調べたんだよ。
俺のためって言ってたけど、どーせ自分も見たかったくせに。
「アニキは…とうぶん忙しいって、」
「俺が呼んでるって言ってくれていい。…昔から俺の顔色ばっか伺ってる奴だったからたぶん来るよ」
こんなこと一生に1度あるかないかだ。
俺が兄弟たちを集めるなんて、なにか計画するなんて普通ならあり得ない。
でも……おまえのためだから。
今も死んだ顔してテレビをぼうっと眺めてる、大嫌いなメイドのため。



