その日以来この女とふたりになるのすら面倒だったことが答えだろ。
ここまで来たらこいつはもう排除確定。
「ごめん。俺も今日は家に帰りたい」
「え〜!1時間だけっ、だめ?」
「俺たち受験生だし、そーいうのやめよ」
こいつなんかじゃ満たされない、満足できない。
離せよ、と。
視線だけで伝えると、女はビクっと恐怖に怯えた目に変わった。
「わ、わかった…、ごめんね」
あんな硬くてまずい肉を食べるくらいなら、兄弟たちがいる家でシェフの料理を食べたほうがマシだ。
まさか俺がこんなこと思うとか。
最初こそ身分を偽って一般的なものを手に入れることが楽しかったが、今は満たされないほうが大きい。
なぜか足りない、逆に渇く。
そして家に帰るたびに見違えるように変わっていく弟たちのほうが、きっと満たされているんだろう。
「あっ、おかえり…」
「…ほかの奴らは?」
22時過ぎ。
適当にゲームセンターで時間を潰してから帰宅すると、リビングにはひとりのメイドのみ。
白々しいな俺も。
兄弟たちは居ないだろうと思った上で、こうして帰宅してんだから。



