日向家の諸事情ですが。

葉奈side




「ミカくんがお肉食べるなんて意外〜」


「ね!ベジタリアンって有名だもんね!」


「あたしのもひと口いる?」



まっっず。

なんだよこの硬い肉。
どの動物のどこの部位だよ。

人肉でも使ってんの?


放課後のファミレスとやらは、いわば学生たちの溜まり場。


安い肉は食いたくない主義だったから野菜しか食べていなかっただけで、「ミカくんっていつも野菜ばっかりで女の子みたい!」とか言ってきて。

どこか腹が立って初めてステーキを注文した。



「…あげるよ」


「えっ、いらないの…?」


「俺やっぱ草……野菜のほうがいーかも」


「やーん!カワイイ〜」



このシーザーサラダだってそこらへんの道端から採ってきた草だろって思うけど、食用の草ってあるし、何より無難。

ちなみにドレッシングも薄い。
まったくと言っていいほど濃厚さが皆無。


これが庶民。
これがごく一般の学生。


気づけば俺は「小日向 実花(こひなた みか)」なんて偽名で私立高校に通う、高校3年生になっていた。