日向家の諸事情ですが。





「お、送ってほしい場所があって…!」


「ええ、もちろん。それよりあなたの具合も心配だわ」


「わたしは大丈夫なので…!お願いします、急いでるんですっ」


「磯山、彼女を送ってさしあげて」


「承知いたしました」



人の良さそうな方々でよかった。

知らない車には乗ってはいけないと、小学生でも分かる常識だ。


でも今のわたしはまさに猫の手でもいいから借りたい状況だった。


指定した住所に送り届けられて、飛び出るように車から降りる。



「ありがとうございました…っ、このお礼はぜったいっ、必ず返しますので…!!」



名前もご存知ないですけど。

華麗でどこかのプリンセスのような素敵なお嬢さんと、その執事。

情報はそれくらいだけれども。


素早く深々とあたまを下げて、わたしは実家の門をくぐる。



「お姉ちゃん…っ!!」


「…サナ?あんた…、なんで来てんのよ」


「じいちゃん…っ、亡くなったってっ、なんで…!!」


「…お母さんから聞いたの?」


「ううんっ、ナオお姉ちゃんから…っ」


「ナオのやつ……」