「サナ…?どうかした…?」
「っ…!ごめんっ!!」
「えっ、ちょっとサナ…!?」
今にもリビングを飛び出して屋敷から出ていこうとしたわたしの腕。
無言無表情でパシッと掴んできたのは、まさかの葉奈。
なにも言われなくとも、その瞳にはあの日、ローレンを一緒に探してくれて雷や停電から守ってくれた優しさがあった。
「……っ、」
じいちゃんが死んじゃったの。
しばらく出かけているって、お母さんは言っていたのに。
でも実際はね、病院に入院していたんだって。
わたしがおじいちゃんっ子だって知っているから、きっと心配かけさせないために。
この日向家で、役目を全うするために。
「戻って…、くるから…」
ちゃんと戻ってくる。
お別れを言えなかった祖父にお別れをしたら、帰ってくるから。
揺れる瞳で伝えて、ゆっくり腕は離された。
そしてわたしは全速力で屋敷を出る。



