日向家の諸事情ですが。





「…なんか鳴ってる」



ヴー、ヴーと、そんなマナー音に気がついたのは望だった。

わたしのメイド服のポケットを見つめながら、言ってくる。


ちょうど葉奈はリビングを出ていこうとしていて、けれどピタリと足は止まった。



「あっ、ちょっと失礼しますっ」



礼儀として一声かけてから、わたしはスマホを耳に当てて彼らに背中を向ける。

誰からの着信だとも、きちんと確認していなかったわたしは。



「────………え……?」



聞いてすぐ、スマホをストンっと床に落とす。

わたしの珍しい声と、そんな行動に驚いているだろう3人。



『おじいちゃんが1時間前、息を引き取ったって』



それはいちばん年が近い姉からだった。


9女である彼女は、唯一の妹であるわたしに幼い頃は意地悪ばかりをしてきた悪魔みたいな姉。

大きくなってからやっと話せるようになって、今もこうして電話をくれたのだ。