「暑すぎ。死ぬ。……早くしろよ」
「あっ、うん!待ってっ、今すぐ…!」
ソファーにどっかり座った葉奈は、天を仰ぐように汗で湿った髪の毛をかき上げる。
こうして奴が帰宅すること、じつは最近になって増えていた。
一緒に食事とまではならないものの、そいつも夏休みということもあって日中はたまに顔を出してくる。
といっても、わたしがひとりで作業をしている時間帯に毎回とやってくるのだけれど…。
今日のように双子の弟たちが揃っている場に帰宅してきたのは……初めてだ。
「は、ハナちゃん…って、夏休みいつまで?」
「あー…いつだっけ。たぶんおまえらのほうが長いよ」
「そ、っか。おれたち9月中旬くらいまであるから…」
さっそく話しかけたのは三男。
この子は誰が相手だとしても必ず先陣を切ることができる人懐っこい性格。
今も様子を伺いながらも弟として兄にありふれた会話を差し出した。
反対に末っ子はもう……びっくりしすぎてわたしの背中に隠れちゃってるし。



