ここまで広がるとわたしは会話に混ざることができない。
「あの人」と、名前のない登場人物が出てきて、わたしは気になりながらもテーブルの片付けに集中。
朝食のお皿をサッとワゴンに戻して、彼らにはダージリンティーを淹れる。
「だとしたらおれたちにも報告があるはずだけど…、それもないし。もしかしてうちに何かあったとか?」
「………かも」
「でもさ、父さんから連絡もないよ」
「ボクもない」
「なら大丈夫かあ〜」
わたしもその心配はしていない。
もし日向家に問題があれば、わたしのところにも早めに連絡が来るはずなのだ。
アニキだけが背負うことではなく、これは一家の問題として楓くんや望にも伝わること。
もちろん、あの謎多き次男のもとにも。
「そこのメイド、なんか冷たいの淹れて」
「っ…!!」
とか思っていたら、穏やかなリビングに本人が登場するとは…。
いつもなら香水の匂いでみんな察するのに、今日に限っては楓くんまでもが肩をびくつかせた。
ああそっか…、それほど外は暑いってことだ。



