当たり前のことをただ当たり前にわざわざ言ってくれたんだから葉奈は。
どうしてそんなひどいこと言うの、なんて。
思っちゃダメ。
「でもわたし…、今までいっぱい、たくさん失敗してきたけど。…でもぜんぶ……その時間があったから今のわたしが居るんだって…思うよ」
「…はっ。そんなの個人の受け取り方だろ」
「…うん。わたしはね、そう思うってだけ」
大丈夫だよ、だいじょうぶ。
あなたが抱えた過去は、もう今はない。
ないけれど、今のあなたを作った大切な時間には変わりない。
あのときの「少女」は、誰よりも今のあなたのために頑張っていたんだよ。
「葉奈は……強くて立派な、男の子だよ」
「………、」
「初めて会ったときね、兄弟のなかでいちばん男らしいって…思った」
昨日、屋敷内のお掃除をしていたとき。
この屋敷内にはたくさん部屋があって、完全に使っていない部屋もいくつかある。
でもそのままにしておくわけにはいかないから、わたしはね、定期的に清掃だけはしてるんだ。



