日向家の諸事情ですが。





「俺の部屋、こっからいちばん遠いんだよ」



アーチ窓に囲まれた長い長い廊下。

ピカッと何回か光るたびに、わたしはビクっと怯えるけれど…。


鼻をくすぐるシャンプーと花の香り。

すぐ近くにピンクベージュ色をした艶にメリハリのある髪と、中性的かつ男性的な端正な顔がある。


つまりわたしをお姫さま抱っこしながら、まさかまさかの日向 葉奈がその「いちばん遠い部屋」へと運んでくれているのだ。



「そろそろ慣れただろ。目」


「……うん」


「じゃあ俺、……はいはい」



高級ホテルのスイートルームのような部屋のなか、革製のソファーに座らせられたはいいものの。

隣の存在が離れようものなら、掴みっぱの服をぎゅっと握ってまで反応してしまう。


すると諦めたように葉奈は移動することをやめた。



「シワんなるからせめて離せ」


「で、でもそしたら…」


「行かないって。俺もあとは寝るだけだし、行くとしてもトイレくらい」


「と、トイレもご一緒に…っ」


「ふざけんなよ」