日向家の諸事情ですが。





「めちゃくちゃ豪雨…、雷も鳴ってる…」



チラリと窓に視線を移せば、ゴウゴウと叩く雨風。



「下手したら停電になりそ。…はー、電波も死んでる」


「ええっ…、アニキ大丈夫かなあ……」



出張先も大雨だったら、風邪引かないようにしなくちゃだよ。

傘ちゃんと持っていった…?
あの人に限ってそういうミスはなさそうだけど…。


それとこれとは別にスマホをひょいっとリビングのソファーに投げたそいつは、手持ち無沙汰になった代わりにわたしが淹れたハーブティーを口にした。



「じゃ、俺もう寝るから」


「えっ!ちょっ、ちょっと待って!」


「…なんだよ」


「ほらっ、危ないからっ、まだ一緒に居たほうがいいと思う…!洪水とか起こったら大変だし…!」


「もしうちが沈んだら一般家庭はとっくに全滅だろーね」


「そ、そーいうことじゃなくて!そうだテレビ観ようよ…!お菓子も食べちゃう!?」


「…………」



こんな声すら外の雨が消してくるし、ゴロゴロゴロゴロと遠くで鳴ってるし…!

そんななか、どうにかしてでもわたしは葉奈を引き止めるに必死。


普段ならこんなこと絶対ぜーったい意地でもしないのに……!!