日向家の諸事情ですが。





普段スカしたこの男は一体どんな顔をすることだろう。

なんて想像すると、フライングでわたしの頬が緩んじゃう。



「…もしかして俺を殺そうとしてるとか」


「は!?そんなわけないじゃんっ!ブッソーなこと言わないで!怖いよもう!!」


「ブッソーで怖いのはおまえだよ」



なにを急に…!

人間を信じられない人はこんなひねくれ思考になっちゃうの…?


もーー!!


わたしなりに葉奈のこと、少しは見直したんだよ今回は!



「よーしっ、ここが特等席ね!」


「なに?なんかのイベント?でも確か今夜って───」


「ちょっと待ってて!!」



敷地内の展望デッキ。

人工的に作られた自然だとしても、夏虫たちの声は本物だった。


すでにセッティングしてあったガーデンチェアに葉奈を座らせて、わたしは少し離れた場所に移動してスマホを取り出す。