「はいっ、はい!こちらは準備バッチリですので…!そりゃもう思いっきり打ち上げていただいてっ!」
よっしゃ腕が鳴るぜィ!!と、電話相手は意気込み200%。
急なお願いになってしまったものの、日向家の名前を出してしまえば基本的に叶わないものはない。
電話の相手はそう、花火の打ち上げ職人さんだ。
「俺ヒマじゃないんだけど」
「暇でしょっ!あとは寝るだけなんだもん!!いーからいーからっ!こっちこっち!」
ぐいぐい引っ張る21時。
夜がいっそう暗さを帯びて、星や月がだんだん輝きを増してくる時間だ。
案外早いもので他の兄弟たちが帰ってくるのは、明日。
きっと葉奈はまた屋敷から居なくなっちゃうような気がしたから、この最終日にわたしはせめて思い出を作ろうと企てたのだ。
「……ふふっ」
鬱陶しそうな腕を強引に引きながらも、ついつい笑みがこぼれてしまう。
絶対びっくりするはずっ!
だって葉奈のためだけに打ち上げ花火が今から上がろうとしているんだから!!



