日向家の諸事情ですが。





「へえ…、こうなってんだ」



────やはりすべてに盗聴、盗撮機能が埋め込まれていた。



「…なるほどね。こいつはスパイってわけか」



別にいーんじゃない?

俺はこの家には大した思い入れも未練もないから、どうなろうと知ったこっちゃないし。



「…ふっ。くくくっ」



ただ、笑える。

こんなの笑えて笑えて仕方がない。


ローレンが居なくなったなんだと騒いで泣いていたような女が、裏ではこんなことをしているなんて。


人は見かけによらない。
人間をそう簡単に信じるな。

それは俺がいちばん理解していることのはずが、つい忘れそうになっていた。



「危なかった。おまえのことだけは…信じそうになったよ俺」


「………は…な…、」



メイド専用の部屋に再び足を踏み入れて、他にはないかと俺はしばらく物色していた。

そこで自分の名前が寝言としてつぶやかれ、興味ない上でも視線を落とす。