日向家の諸事情ですが。





「……これって、さ」



そいつを起こさない程度に触れてみたところで、「ははっ」と軽い笑いがつい漏れた。


こいつ……。


それを目的として毎日毎日首にかけていたのだとしたらかなりの女だ。

重さはそれほどないが、やはりよく見ると琥珀色の奥にレンズが見える。


まるで盗撮によく使えそうだと、声に出ていたかは分からない。



「やっほー。…見えてる?」



誰がその先で見ているか不明だが、ひらひらと手を振っておく。



「うちの人間たちをどんどん手懐けてくれちゃって。…ねえ」



心地よさそうに眠るその顔さえ計算して作っているものだったとすれば。

なんとも打算的な女だと、感心さえ生まれそうになる。


と、追加するように思い出したのは、屋敷内の模様替え。


この女がメイドになってから、帰宅するたびにカーテンに絨毯や照明がすべて取り換えられていたこと。



「まさかとは思うけど……」



屋敷内の所々に置かれた、時計のような置物たち。


これは日向家のものではない。

となれば、持ってきた存在はひとりしか考えられない。


その置物を俺はまた、ひとつひとつ確かめるように拝見する。