『…牧。おれ……わたしは、牧の味方だよ』
『……なにが“わたし”よ…、』
『…え…?』
『ふっ、ふふふっ、ほんっとうに馬鹿ねえ』
あなたは俺にとって。
最低で最低で、狂っていたけれど。
それでも俺にとって実の母親以上に───、
『あんたはね、産まれる直前まで女の子だと言われていたの。旦那様も大喜び、2人目は女の子だって言ってね。
待望の長女、だれもが待ち望んだわ。けど、産まれてきたのは男だったんだから。みんなガッカリよ』
なん……だよ……、それ…。
わかっていたなら。
俺が男だと、最初から分かっていたならば。
『あんたなんか旦那様と駆け落ちできたとき一緒に連れていくつもりで利用してただけの……駒でしかないんだよッッ!!』
長男はここに残す代わり、次男を自分の子どもとして置くことが叶えば。
そこに愛した男との絶対的な繋がりができる、と。
たったそれだけのおままごとに、自分の幼少期の人生は利用されたのだと。
『言っとくけど、あんたを可愛いと思ったことなんか1度だってないから』
『じゃあ……なんで…、こんな格好…』
『なんで?…ふふ。ただの暇つぶしの着せ替え人形かしら』
少年のなかの何かが、パリンッと壊れた音がした。



