『ぼくは…おとこでしょ…?“おじょうさま”なんかじゃないし、こんな服も……やだよ』
『いいえ違います』
『サッカーしたいし、シキやフウみたいに外で遊びたいんだ…、お人形さん遊びなんか……たのしくない』
『いいえちがいます』
抑揚もない声。
一点を見つめたままの女の目。
そんなものを浴びるたびに、まるで命を狙われているような恐怖があった。
そう、この少女は男。
身体も心も正真正銘の男の子なのだ。
けれどほんとうの自分として笑うことは、決してたりとも許されない。
『あなたは女の子です』
『ちが……』
『女の子だって言っているでしょう…!?なぜ分からないのッ!!何度言わせれば分かるのよッ!?』
『っ…、』
『こっんなに可愛らしいお顔をしているのに……ねえ、葉奈お嬢様』
カタカタと震える6歳の子には、笑いかけながら頬を撫でてくる動きがなにかに飲み込まれた化け物のように見えていた。



