『ほら……とってもかわいい。やっぱり葉奈お嬢様は何でも似合ってしまいますね』
立たされた三面鏡の前。
フリルがたくさんついたワンピースを着せられた少女がいる。
おまけのように髪に取り付けられた、ダイヤがしっかり埋め込まれている装飾品。
靴も小物も、すべてが女の子だ。
『お気に召してくださいましたか?…葉奈お嬢様?』
どんな顔をすればいいのか分からなった少女は、背後にしゃがんだ存在へとコクンとひとつ、細い首を落とす。
いったい自分はどうしてこんなことをされているのだろう。
どうして好きな服を着させてはもらえないのだろう。
ほんとうはこんな格好……したくなかった。
『少しだけお化粧をしましょうね、葉奈お嬢様』
『…牧(まき)、やめて』
『…………』
自分だけを特別扱いするように付きっきりで世話をしてくる若きメイドは、わずか6歳の少女の言葉に動きをピタリと止める。
彼女は病弱で寝込んでばかりの母親以上に、その子のそばに常にいる使用人だった。



