幼なじみは不滅です!

次の日の土曜日。
久しぶりに訪れた川原は、あたしたちを包み込むように優しかった。
瞬くんを飲み込んだ川と、同じ場所とは思えないくらいに。

「久しぶりに、この辺りに来たな」
「……うん」

隼人の言葉に、あたしは力なくうなずく。
瞬くんが亡くなってから、ずっと避けていた場所だ。
それでも、ここに来た理由は単純。

「ここに来たら、あの頃の瞬くんにまた、会えるんじゃないかと思った」

あたしはぽつりと素直な声音をこぼす。

「そんなわけないのにね……。でも、せめて、あたしたちは元気しているって、伝えたかった」
「……俺も思っていた」

あたしの言葉に、隼人は苦笑して、噛みしめるように声に出す。

「本物の瞬に会えたらいいなって、そうなったら嬉しいなって」

ぽつりとつぶやいた隼人の表情には、どこかやるせなさがにじみ出ていた。

「俺もさ、もう一度、ここで……三人で遊んだ川原で、俺たちは元気にしているって伝えたい……」
「……あの頃の僕か」

あたしははっとする。
振り返ると、瞬くんはまるで痛みをこらえているような顔をしていた。

「今の僕は隼人だから、隼人の想いは僕の想いでもある……。だから、僕も伝えたい」

瞬くんはそこで声を落とした。

「でも、偽物の僕が、本物の僕に伝えるのは……変なのかもしれないな」

少しさびしそうな表情。
今の瞬くんは、もう一人の隼人。
どんなにあがいても、『本物』にはなれない。
物理的な距離が、心の距離とは必ずしもならないように。
そのことを、瞬くんは改めて、実感しているみたいだった。

「僕がいなくなってから……いろんなことがあったよね」

空に溶けるような瞬くんの言葉が、あたしの耳をさわさわとくすぐる。

「本物の僕が、最後にここに来たのは一年前。でも、ここにいる僕は違っていて……。改めて、実感する。僕はやっぱり……偽物なんだと……」
「そんなことない!」

思わず、あたしは弾かれたように声を上げていた。

「過ぎ去った時は戻らない。……それでも、すべての終わりではないと思うから!」

そう言うと、確かな事実として自分の胸にすとんと落ちてくる。

「あたし、瞬くんが亡くなってから、思い出すことはすべて、悲しいことばかりって決めつけていた。そんなわけないのに……。楽しい思い出だって、たくさんあることを知っていたのに……」

一気に吐き捨てると、花が芽生えていくように、あたしの中に温かなものがゆっくりと積もっていく。

「瞬くん、覚えている? あの時の約束。『来年も、三人そろって過ごそうね』って」
「うん……」

あたしがそう口にすると、瞬くんは躊躇うようにうなずいた。

「小さいけど、大切な約束。それがあるから、また歩き出せる。迷わずに歩んでいけるんだ!」

きっと、今なんだ。
今――あたしたちは、あの川原に来ている。
あたしたちの心の中のものを晴らすなら、きっと――。
きっと、今だと思うんだ。