幼なじみは不滅です!

カナッペの問題が解決してから数日後。

「おはよう、瞬くん」

教室に入ると、あたしは瞬くんの様子をうかがう。

「おはよう、こはる」

瞬くんはいつもと変わらない様子だった。

この間のさびしそうな表情は、気のせいだったのかな?

気になりつつも、あたしは自分の席についた。
ふと、ぼんやりしていると、あの日のアルバムさんのアドバイスが頭に浮かんでくる。

『隼人様の能力を維持してください』

あたしは少しだけ、身体の奥が熱を帯びていくのを感じていた。

(維持できなくなったら、瞬くんはどうなってしまうんだろう。消えてしまうのかな?)

……いや、まさか!
そんなはずないよ!
ぶんぶんと首を振って、嫌な考えを頭から追い出す。

(瞬くんは絶対に消させない!)

あたしはぐっと噛みしめる。

(だけど、そのためには、どうしたらいいんだろう……)

隼人の能力の真実に踏み込むのは、本当に勇気がいることだ。
どう踏み出せばいいのか分からず、迷いが生まれる。
もし、何か隠されているのなら――それを知った時、どうなってしまうんだろう。
いろんな想いがからまって。
瞬くんの本当の気持ちが見えなくなって。
何が正しいのか、分からなくなる。

(こういう時、アルバムさんたちがサポートしてくれる……って言っていたけれど)

あたしが思い悩んでいると、いつの間にか放課後。
静まりかえった教室。
ぼんやりと机に突っ伏していると、トントン、と肩を叩かれた。

「……隼人?」

振り返ると、そこには隼人が立っていた。
いつも通りの意地悪そうな笑み……じゃない。
どこか無理をして作ったような笑顔だった。

「なあ、こはる。解決係だったよな?」

隼人のその真剣な目が、あたしの心臓をドクンと跳ねさせる。

「うん……。そうだけど」
「その、朝はいろいろあって、相談できなかったことなんだけどさ」

隼人にしては、めずらしく歯切れが悪い。
不思議に思っていると、隼人は真剣な口調で続ける。

「頼む! 俺の悩みを解決してくれ!」
「悩み?」

意外な頼みに、あたしはきょとんとした。

「実は、『もう一人の自分を生み出す能力』についてのことなんだ」

ドキリとする。
先程まで、そのことを考えていたからだ。

「実は俺さ、ずっと同じ夢を見ているんだ」
「同じ夢?」

隼人が打ち明けた事実に、あたしは目を見開いた。

「ああ。いつも見るのは瞬になる夢だ。俺の夢じゃなくて、瞬になる夢」
「瞬くんになる夢」

あたしは隼人の言葉を繰り返す。

同じ夢を何度も見る……?
どういうことだろう?

あ、もしかして……。
隼人が『もう一人の自分を生み出す能力』を使い続ける条件って、『瞬くんになる夢』を見続けることなんじゃ!?
不安が胸の中でふくらんでいく中、隼人は改めて切り出した。