凪渡くん、このままじゃ溶けてしまいます【完全版】

バイトが終わってすぐに誰もいない路地裏に逃げ込んで、声をあげて泣いた。


「うわぁ……! うぅ……!」


それでも明るい表の道路には声が聞こえないように、どこか押し殺したような小さな泣き声。

そのまま涙の跡を隠しもせずに、ぼーっと歩けば足は勝手に道を覚えていて、いつもの公園に向かってしまう。



公園のベンチには凪渡くんが座っていた。



あの日から、放課後はずっとこの場所にいたのだろうか。

それとも凪渡くんもバイト終わり?

どっちにしても今の私には声をかける元気なんてなくて、そっと公園から離れる。


「莉帆ちゃん」


今はその声を心から聞きたくなかった。

八つ当たりしてしまうから。





「莉帆ちゃん、泣いてたの? 涙の跡がついてる」





いつもと違って優しい声に優しい表情、だからこそ余計にキツく当たってしまう。



「何で人気者が私に構うの? こっちは必死で取り繕っても中学からの友達の美琴ちゃんを繋ぎ止めておくだけで限界なのに」