凪渡くん、このままじゃ溶けてしまいます【長編大賞版】

その真っ黒な髪に手が触れたらしい。

地味な装いなのに顔が整いすぎてきらめいて見える。



「ん……あ、莉帆(りほ)ちゃん起きたの?」



「何で名前を知っているんですか!」

「何でって、もしかして覚えていないの? 俺のことを助けてくれるって言ったじゃん」

「言うはずないでしょ!」

夕方四時頃、芝生(しばふ)の上に百円ショップで買ったレジャーシートを()いて少し仮眠を取り始めた記憶はある。

疲れ切った身体を癒すために。

それでも日が暮れる前には起きるつもりだった。