凪渡くん、このままじゃ溶けてしまいます【完全版・更新中】

「えー、折角キスしてあげようと思ったのに」

「しなくて良いです!」

「で、莉帆ちゃんは俺が怪しい人じゃないってことは分かったの?」

「身分が怪しい人じゃ無いのは分かったけれど……まだ凪渡くん自体が怪しいかもだし……」





「そうだね。でも、俺が怪しい人だったら、莉帆ちゃんは何が困るの?」




「え、だって怖いし……」




「えー、スリルがあるのも良くない?」




「そんなスリル求めてない!」

「でも、俺がここで王子様みたいに振る舞って、莉帆ちゃんの前で良い人を演じて、莉帆ちゃんが騙される。そっちの方が嫌でしょ? だから、初めから俺の素で接してあげているのに」

「……じゃあ、教えてよ。なんでバイトする必要があって、なんで『愛があれば何でも出来る』を試したい相手が私なの?」

凪渡くんがじっと私の瞳の奥を見つめている。


まるで私が明かすにふさわしい相手かを見極めているかのように。






「バイトする理由は、もしかしたらいつか家を出て自立するかもしれないから。そのための資金は多いに越したことないし。恋したい相手が莉帆ちゃんなのは、同じ高校で見たことあって嫌な雰囲気じゃないことを知っているから。それと毎日バイトしていて疲れていたからから」





「何でバイトで疲れているのが関係あるの?」








「だって判断力鈍るでしょ。だから俺みたいな奴につけいられる」







「っ!!! 馬鹿にしないで!!!!」








振り上げた手は容易くパシッと掴まれ、そのまま固く握られて離してもくれない。