その恋、両思い未満

八城もえぎ。
母親同士が仲良くて、幼い頃から一緒だった幼なじみ。
ママが亡くなってからは、親同士の交流の機会がなくなって、別にお家もとても近いわけではなかったから学校以外で会うことはなかった。


中学からは校区も変わってしまったし、本当に丸3年会ってない。


小学校の頃は、いじめられている私を見て泣いているような可愛い少年だった。
気弱だったから、もえ自身もいじめられていることは多々あったし、とにかく小柄で可愛かった。


それこそ先生の間でもちょっと贔屓されるくらいには。



「なぎ、ここ座って」
「うん」


それがどうだろうか。


私を呼ぶもえは、自分の髪を乾かしたところ。
さっきはセットしていた髪もまっすぐ降りていてふわふわ柔らかそう。


メガネをかけているけど、その奥の目は相変わらず澄んでいる。


変わったことといえば、完全にイケメンとか、そっちの系統に出来上がったもえの印象だろうか。
弱虫そうな雰囲気から、静かで知的な印象に。


伏し目がちで控えめなその表情は、昔より感情が読めなくなった。
だけど、私を見るたび柔らかく微笑んで「なぎ」と呼んでくれる。