その恋、両思い未満

俺に影を落とすなぎは、黒目がちな目で俺を見つめて、視線を逸らさない。




混乱する俺を置いてけぼりにして、
こんなときばっかり、妖艶な笑みを浮かべて言う。



「ね、もえ。どうだと思う?」



……っ、



完全に敗北を悟りました。俺。



見たことないような大人な表情。
視界に揺れる、大きく開いた襟元の奥。




「……っ、降参」
「バーカ。仕返しだよー」



満足げな表情で、体勢を戻して、俺が姿勢を立て直したのを見届けると、俺の膝の上に横になった。


何もなかったみたいに、さっきまでと何にも変わらない表情と雰囲気を纏い、呑気にテレビを見ている。



……いや。
降参って言っただろ。


自重してくれ。



「なぎ」
「私の勝ちだから」


言うこと聞けと、言いたいんだ?
なるほど。


なぎがのびのびわがまま言える環境なら、俺は嬉しいです。
……複雑ですが。