その恋、両思い未満

可愛い。もっと可愛い顔を見たくなる。



なぎを可愛がっていいのは、俺だけ。



で、あって欲しい。



なぎにゆっくり手を伸ばして、伸びた髪を耳にかける。
ピクリと、体が揺れた。




「ね、なぎ」
「……っ、」
「俺と一緒にいるの、楽しい?」



ちらり、と視線だけがこちらを向いた。
瞳が揺れる。


「はぁ……」



……あれ。



少し目が泳いで、意外にも、なぎから返ってきた言葉は、ため息だけだった。


別に、とか、違う、とか。
てっきりそう言う類の言葉が返ってくるかと思っていたけど。





「……もえ、うざい」




その言葉の後、きっと俺を睨みつけたかと思うと、突然腰を上げた。


俺の両腕に触れて、ゆっくりと体重を預けてくる。





前のめりになって覆い被さるなぎと、そんななぎに押されてソファの肘置きに背中を預けた俺。


完全に形勢逆転の構図。






あれ……なんか。
えっ、?


顔が近くて、なぎの長い髪が俺の胸元に触れる。
長いまつげが、ゆっくりと上下している。