再開した幼なじみに翻弄されて

2、3、4、と上がっていくエレベーターのスピードは普通。
業務用とか、高層ビル用とかそういうパワーのあるものではないらしい。


8階について、キャリーを引いて、1番端の部屋の前に立った。
ガラガラ音が響いてしまっているけれど、同じ階の人の部屋の中には響いてないのかな。
迷惑をかけていたらどうしよう。


804号室。
そんなことを悶々と考えながら鍵を回そうとしたら、1人でに鍵が回った。


……ん?誰か、いる?


パパからは何も聞いていない。
804号室、とだけ。
管理人さんだろうか。
だとしても、家具やらなにやらを揃えてある部屋に、入居日に勝手に入ることなんてあるんだろうか。


よくないのでは?
人として、というか。管理体制として、というか。


向こうから開き出すドアに少し後退りして、キャリーケースより後ろ側に立つ。
荷物を手離して走り出す準備はできていた。


ガチャリ、キィ、


重そうにドアが開いて、はじめに見えたのは黒髪だった。
前髪の少し長いマッシュヘア。
黒縁のメガネ。


白いシャツにベスト、ゆるいパンツで柔らかい雰囲気を纏う。



「……もえ?」
「久しぶり。なぎ」


あ、と頬をぽりぽりかく。