その恋、両思い未満

嬉しそうに日本語で話し続ける英語のおじいちゃん先生の話は、関西出身の影響あってかめちゃくちゃ面白かったけど、頭にちらつくなぎの顔が、先生の話に集中させてくれないのも事実だった。


……こんなに心配してて、俺はこの先大丈夫なんだろうか。
勉強に身が入らない気がする。


「八城くん」
「ん?」


教科書を持って、真澄と教室を出ようとすると、隣の席の笠倉さんに話しかけられた。


「数学の先生、面白かったね」
「うん。関西の先生ってあんなに勢いあるんだね」


俺が会話を受け入れたのを見て、3歩前を歩き始めた真澄。
……わかりやすく拗ねた。


というか、面倒がっている。


真澄は自分が気のない女の子には優しくしない、友達としてコミュニケーションを取るのは自分に気がない女の子だけ、を地で行くタイプの男だ。


俺みたいな曖昧な態度を取る男は、好きじゃないんだと思う。


俺に話しかけて、真澄に話しかけない笠倉さんの下心も見え透いて、こちらとしてもやりづらさはあるけれども。


教室に戻る間、笠倉さんはマシンガントークを続けて、ちょっと気後れしてしまった。


じゃあね、と手を振っていく彼女を見送って少しため息をつきつつ、自分の教室に戻る。