その恋、両思い未満

……俺だってあのとき話せたのはなぎだけだったし。



「あの、八城くん」


教室について、真澄とそれぞれ自分の席につく。
言っても前後。


真澄を隣に置きながらなぎに思いを馳せていた俺の思考を遮った声があった。


この授業は他クラスも混ぜてレベル分けされる。
全く知らない人が同じ教室にいることになるが。


……全く知らない人に話しかけられている、気がする。


「何?」
「あ、あの……隣の席、だから挨拶しようと思って」
「そうなんだ。よろしくね」


マメな人、らしい。


少し顔を赤く染めてはにかみながら、笠倉ナギサと名乗った。
なるほど、俺のクラスが終わる列と隣のクラスが始まる列が隣なんだ。


テストごとにクラス分けの再編成があるらしいから、この列も適度に変わりそうだ。


「2人目」
「何が?」
「ようもないのにもえぎに話しかけたの。今日で2人目。
まだ2限だけど」
「そうだね」
「これじゃ、告白されるのもすぐだよ」
「どうだろう。彼女いるかもって邪推するかも」
「ないな」



中学のときはそんなに告白されていたつもりはないけどな。