その恋、両思い未満

心の叫びはきっともえには聞こえてないけど、満足したのか私の隣から離れた。



少し見上げてみると、パチリ、と目があった。


瞬間、もえの口角が少し上がったような気がした。



「顔、赤いよ。……テレてる?」



……もたない。
このままじゃ、心臓が何個あってももたない。



リビングに戻っていくもえの背中を見届けてから、自分の部屋に向かう。


朝結んでもらったネクタイを解いて制服を脱いだ。



何、今のは。


『顔、赤いよ。……テレてる?』


何、あのスカした顔。
なにあの、余裕そうな笑み。


ていうか、言い逃げしたよね?


なんなの、ほんと。


……顔、熱い。



顔をパタパタと仰ぎながら、着替えてリビングに戻る。
キッチンの方からいい匂いがしてきた。


「なぎ、マヨネーズいる?」


ふつーの顔。
何事もなかったみたいな。


「いる」


美味しそうな匂い。


マヨネーズを持ってきてくれたもえと食卓について2人で手を合わせた。



「いただきます」
「いただきます」



一口、口に入れて美味しい、と感じた。
料理、やっぱ上手なんだ。


家を出るって決まってたのに何にもしてこなかった私とは違う。
漠然と、家を出たいと思っていただけ、だったのかな。