その恋、両思い未満

さては危ない人……なのでは?


クラスの中で最後に講堂を出た私を、直前に出た彼女が振り返った。


「ねね、名前なんて言うの?」
「え……と、浅倉深凪」


私は警戒心むき出しで返した。


対応として良くない自覚はある。
でも、怖い。
友達なんていたことない私は、こんなふうに話しかけられたこともほとんどないし、警戒してしまう。


「みなぎ?珍しい名前だね。すっごく可愛い。
お顔もすっごくこいろの好み!こいろ、ぜひみなぎちゃんと仲良くなりたい!」



さっきと同じキラキラした目で私の両手をぎゅうと握りしめて、私よりちょっと背が高いはずなのに、上目遣い。



ぱっちり二重で私に期待の視線を向けてくれている。



「う、うん」



ぱああ、と花が咲いたみたいな笑顔で私の手を掴んだまま腕を上下する。


「嬉しい!
こいろ、井上こいろっていうの!こいろはひらがなだよっ」



私の手のひらに指でこいろ、と書きながら教えてくれて、そのまま私の手を取って歩き出した。


な、なに?
なに?


え、なに?