その恋、両思い未満

入学式は、とても長かった。
学園長の話も、PTA会長の話も。


行政区のお偉いさんだって話していたし、生徒会長さんの話も思ってた思っていた以上に長かった。
ポカポカした講堂。
出席番号のおかげで先頭に座った私はうとうとしても寝れるはずもなく、拷問のような時間だった。



もえは羨ましい。八城なんて。やなんてほとんど最後の方だ。
列の区切れで先頭になっちゃった、なんてこともない。


入学式が終わって退場のタイミング。
振り返ると、有象無象の中にもえを見つけた。
やっぱりもえは眠そうで、寝ていたんだろう、ポヤポヤ顔だ。


「ねね、」


私の後ろに座っていた女の子がキラキラした目をしていた。


あれ。
退場でみんな振り返っているのに、どうして私はこのこと向き合っているんだろうか。


「退場だよ」
「あっそうだよね」


ハッとしたように後ろを振り返る姿は、危なっかしさ全開だった。
私は多分、身長が低い方だけど、この子は私とそんなに変わらない、小さめの子だった。


ふわりと膨らんだショートボブ。
差し込む太陽の光に金色に輝く、確信を持ってブリーチしたんだろうと言える髪。
膨らんだ髪の隙間で、キラキラと右耳の複数のピアス。