その恋、両思い未満

とにかく人の視線を感じる。



学生講堂へ向かう途中、もえを見かけた。
誰かと喋ってるみたい。
女の子だ。


早速声かけられたのかな?
それとも中学の頃からの友達?


こんなところに中学の友達なんている?普通。


わかんないけど。


「ねえ君」


まあでも、入学式だし、みんな友達作りたいだろうし。
もえみたいにかっこいいと女の子も下心でちゃうのかな?
わかんないけど。



「あの、君?」
「……あ、私?」


ぽん、と肩をたたかれて、遠くに聞こえていたノイズが自分に向けられているのにやっと気づいた。
振り返ると、どこかで見たことありそーな、というか街中歩いてたら3人に1人はこんな顔だろ、と思わせられそうなぼんやりした顔の男の子。


「これ、落としたよ」


手にはハンカチ。
ピンクの、花柄の、うっすい綿のやつ。


……私、そんなの持ってたっけ。
持ってたっけ。


持ってたか。
持ってたんだろうきっと。


事実落としたって言われてるし、多分、そうなんだろう。



「ありがと、」
「嘘だよ」



受け取ろうとすると、ひょい、と腕が上がった。