その恋、両思い未満

学校に着くと、校舎の窓がどこも開いていて、どの窓からも人が見下ろしていた。
上級生だろうか。


結構お上品な学校だって聞いていたけど、下世話な人ばっかりだ。
要はアレでしょ、品定め。


視線を下ろして校舎の入り口の方へ向かう。
デカデカと入学おめでとうと書かれた垂れ幕が下がっていて、嫌でも入り口がわかってしまう仕様。


上級生と思しき学生が校舎の入り口で新入生の名前を聞いて、クラスを案内している。
さほど数は多くないから、生徒会とか、何かしらの実行委員とか?


新学期早々こんな仕事があるなら是非やりたくない……。


「ご入学おめでとうございます。お名前は?」


声をかけてくれたのは、男の先輩だ。胸についた校章の色が3年生。


「ありがとうございます。浅倉深凪です」


パソコンでカタカタと文字を打つと、さっと顔を上げた。


「Cクラス1番だね。そのまま学生講堂へ向かってください」
「ありがとうございます」


最後に、こちらをどうぞ、と造花を渡された。
胸につけるやつらしい。
仰々しいお迎えだな。
ちょっと気後れしそう。
というかすでにしている。



花を受け取って下駄箱へ進む。
少し高めのローファーを脱ぎながら思った。
……この学校、結構大変かもしれない。