その恋、両思い未満

じゃあいいか、と私に背を向けた。
私もそれについてリビングの方へ向かう。



「そろそろでる?」
「え、一緒に行くの?」
「行かないの?」


きょとん、とした顔で振り返られても……。
私は全然1人で行く気だったし、学校ではもえとは関わらないでおこうとか、思ってたけど……。


「行かないつもり」
「……そっか、」



あ、ちょっとしょんぼりした。
そんな顔をされると、一緒に行かないって言ってる私が非常識みたいな。
もえが可哀想な。


そんな気がしてしまいますけど。


「先出るね」


もえに手を振って私はのんびり身支度。
まだ髪をセットしていない。
寝相の悪さゆえのうねりを潰さなきゃいけない。


髪をピンで止めた。
手に取ったのはヘアアイロンではなく、メイクポーチだ。


『子供とか大人とか関係ないのよ。必要だと思った時からメイクはしたほうがいいのよ』


幼い頃から死ぬまで、ずっと私に呪いみたいに言っていたこと。


母親は仕事柄、綺麗であることに心血を注いでいたわけだけど、
それは私に対しても同じだった。