その恋、両思い未満

もえとの同居が始まってから、1週間と少し。


今日は入学式。


「可愛いと思うけどな」
「ない」


デザイン性の高いセーラー服に身を包んで、鏡の前でネクタイと睨めっこ。
ネクタイなんて結んだことないから、全然要領が分からない。


「リボンじゃないの?」
「正装はネクタイ」


スマホでネクタイを結ぶ動画を見ながら、見よう見まね。


そもそもセーラー服のネクタイなんか一般的な男性のネクタイと長さ違うし、上手く行くわけなくない?


そもそも正装をネクタイにしたのは何?
全部リボンでいいと思うんだけど。


もえに見守られてやることでもないし……。


「貸して?」


姿見の前でああでもない、こうでもないとしているとダークグレーのネクタイは、もえの手の中に落ちた。



顔を上げるとすぐそこ。
まつ毛が揺れてるのがわかる。



……やばい、まただ。



「へえ、ヘンな長さ」


そういうもえはセーラーの襟を持ち上げてネクタイを通すと、ささっと結んでしまう。


その一瞬ですら、とても近くて、息が詰まる。
胸がびっくりしてる。
落ち着け。暴れるな……。



「どう?」
「ありがと」
「どういたしまして」