その恋、両思い未満

ニコニコ嬉しそうに私を置いて部屋を出ていく。
今から残りの準備をするんだろう。


私はもう一度部屋に戻って鏡の前で自分を確認した。


ゆるーく巻いてポニーテールにした髪。
前髪はちゃんと切り揃ってるし、アホ毛は特に目立ってない。


メイクも軽くしたし、洋服も可愛い。
靴はスニーカーで十分だと思う。


ピアス……は、まあ無難に小さいのを。


誰に開けられたんだか、しっかり残ってしまって案外塞がらない穴に数個しか持ってないうちの一つを入れた。


これを見たときのパパの怒りようはすごかった。


そんなふうに育てた覚えはないだの、そんなことをする友達と仲良くするのはやめろだの、開けたのが彼氏だとわかると尚更うるさかった。


私だって中学生でそんなことすると思ってなかったし、普通にこんな穴いらなかった。
今は開き直って、おしゃれに使っているけれど。


「そろそろ出るよ」
「うん」



引っ越してきてからこうやって2人で家を出るのは初めて。
昨日までは少ないながらも荷解きに手間をかけていたし、もえもまだ荷物が残ってるみたいだった。