その恋、両思い未満

「なぎ、服少ないね」
「出かけることもなかったからね」


私が着替えを探してクローゼットの前に立つのを、横から覗き込んで、驚いた顔をした。
かかっているのは数着。
昔はたくさん服もあったけど、少しずつ、これ要らないよね?と捨てていったのはアヤメさんだ。
ママの服もしれっと捨てていたのを、私は知っている。


「冬服はもうちょっとあるよ」
「分厚いから嵩張ってるだけじゃん」


失礼な。
合ってるけど。


「ついでに服も買いに行こうか」


今日は散歩の日。
もえに「この辺り散策しよ」と誘われて、一応目的地は学校と反対側に20分ほど歩いたところにあるモール。


「別にいらないよ。出かける予定もないし」
「出かけないの?」


キョトン顔。
俺とも?と言わんばかりの表情。


「そんな服いっぱいもってたって仕方ないよ」
「仕方ないって思わないくらい出かけようよ」


ふわ、と笑って、そのまま準備してくる〜、とひらひら手を振ったもえ。
あったかそうなスウェット。
少し寝癖も気になる。


……そんな顔しても、絆されたりしないからね。
どれだけ自分の顔が良いのか、わかってやってるんだろうか。
罪な男だ。