その恋、両思い未満

その時はそれだけ言われた。
俺はよろしくお願いします、と言って、また勉強をした。


母さんには、料理と洗濯くらいはできた方がいいんじゃない?と言われたので、教えてもらって練習した。
母親を練習台にして髪を乾かす練習もしてみた。
金髪の母さんの髪はなかなか乾かなかった。


勉強も実家を出る準備も、同時に進めるのは、別に賢くない俺にはかなりの負担だった。


それでも気持ちは変わらなくて、幼なじみのなぎをどうにか助けてあげたかった。


合格した日、なぎの父親に呼ばれて、新居の方に行った。


深凪の入居は、3月末だ。それまでに先に入居してもらえると助かる。


わかっていると思うが、深凪を泣かせることはするな。
あくまでも同意だ、同意が必要だ。


新しい家具の中で、なぜか床に正座して向き合い、深凪のことを箱入り娘として大切に育ててきた、と言う気持ちだけは感じる、熱のこもった言葉を小一時間聞かされた。


そんなに大事に思うなら、もっと、家での対応があったんじゃないのか、と喉元まででかかったけど、話が台無しになりそうだったから、黙っておいた。